1983年1月13日(木)
0700 起床。顔を洗っているとき大きく左舷にローリングし、机の上のものが床に滑り落ち、椅子も倒れた。今航海初めてのことである。昇橋。夜明け前の暗夜の海上を右に左にローリングしながら、そして船首を重たげに上下させながら、しかし力強く定速で、一路 Unimak Pass へ向け進んでいる。巨大なエネルギーを要していることが感じられる。うねりは昨日より大きくなったようだ。うねりの方向は右舷後方より。オートにしてある操舵機を見ると300゚(T)にセットしてあるにも拘わらず、299゚ から 304゚ の範囲でヨーイングしていた。なぜ振れの範囲が違うのか? 朝食はめざし焼き、大根おろし、味噌汁、いり玉子、白飯、漬け物、コーヒー、煙草2本。0850 昇橋。右舷から横なぐりの雪。視界約200m。写真撮影 1100 まで。オートパイロットのセットコース300゚(T)に対してヨーイング303゚ 位のとき舵角は Port 8゚ 位までとられている。0945 頃左舷10゚ 位までローリング。

本船の機関に関する概要
 IHI SULZER(排気弁、吸気弁がない)、B&W(吸排気弁あり)、UEC(吸排気弁あり)
昭和43年頃製(15年間運転)
8気筒 Bore 1050mm
型式 IHI−Sulzer 8RND  105  単動2サイクル
過給機付船用ディーゼル機関
常用出力 23,800 BHP (102.4RPM)  連続最大出力 28,000 BHP (108RPM)
主軸回転数 102.4 rpm 108 rpm
正味平均有効圧力 9.36 kg/cm2 (108RPM時)
最高圧力 85.0 kg/cm2 (108RPM時)
平均ピストン速度 6.48 m/s (108RPM時)
燃料消費率 (90 Ton/day) 150 gr/BHP HR (10,200 Kcal/kg
常用88回転として1日消費量 65〜71トン(@50,000〜60,000/ton)
325万円
本船使用燃料 API 10.0 Viscosity Red Wood #1 2,500秒
(以前は1500秒程のものを使っていた)
2,500秒は1,500秒に比べ粘度が高いため、120度まで予熱してから燃料噴射する。
回転方向 船尾より見て時計方向
主要寸法 シリンダー径 1050m/m
ピストンリング5本全てコンプレッションリング
シリンダー数 8
行程 1,800m/m
付属品 過給機(Turbo-charger)2台、IHI BBC、VTR-750
出口側の圧力 0.5kg/cm2(88 rpm として)
(吸)空気冷却器 2台 GEA
気筒に送り込む空気を40〜45゚ に冷却する。
ターニングモーター 1台
電動単連(遊星)11Kw×1,200rpm クラッチ付
(暖機、整備作業用)
軸系 数 4(シャフトが中間軸3、プロペラ軸1より成る)
直径 中間軸 586m/m、プロペラ軸 726m/m
長さ 中間軸 8,450m/m×2、プロペラ軸 9,200m/m
  8,485m/m×1
プロペラ 型式及び台数 6翼1体式
材質 Ni−Al−Bc
直径及びピッチ 6,500m/m×7,630mm

補助ボイラー
1 碇泊中使用するための燃料を焚くボイラー
IHI−コクランマルチパス 1台
蒸気圧力制限 7.5kg/cm2 常用 7.0kg/cm2
蒸発量 133kg/h
主要寸法 ドラム径 2,000m/m 高さ 4,616m/m
効率 78%
2 航海中主機排ガスの排熱利用によるボイラー
強制循環スパイン式排ガスヒーター 1台
蒸気圧力制限 11.5kg/cm2 常用 7.0kg/cm2
蒸発量 常用出力にて 2.0t/h
主要寸法 巾 3,495mm、奥行 2,401mm、高さ 4,549m/m

ディーゼル発電機
  原動機 4サイクルディーゼル 3台 1,120PS×600rpm
  ダイハツ6PSTO−30
主発電機 防滴自己通風 3台 750Kw×450Vac
 ピストン冷却清水ポンプ
 碇泊中 ジャケットポンプは常に運転 冷却水温度を60℃に保つ
(冷却水タンクに蒸気を送り込む)
ピストン冷却水ポンプも常時運転 45℃
(       〃      )
ノズルクーリングポンプ冷却水を90℃に維持しておく
潤滑油清浄器の油を加熱して潤滑油を38℃に保つ
エアタンク2ケ 25kg/cm2  補給なしに20回はできる
運転中の正常温度(88rpm)
◎排気ガス 310〜340℃
ターボ入口450℃、出口350℃、集合管350℃
カーボンがたまってくると350℃位まで上昇する
吸気側温度 40〜45℃
ピストン冷却水 入口42℃、出口55℃
シリンダーライナー温度 80℃
 各種油の1日当たり消費量 但し、海上模様により前後10位変化する

1 主機 F.O. Propeller speed
C重油 70rpm 17.30 Knots 35.0K/T
88rpm 21.75 Knots 65.0KT(55〜75KT)
95rpm 23.48 Knots 80.0KT
100rpm 90.0KT
実際には slip を考えなければならない
今航海 71KT @5〜6万円/KT ----- 355〜426万円/day
2 主機 Cylinder oil 500l/day
@25万円/Kl ------------- \125,000/day
3 主機 System oil 200l/day
@20万円/Kl ------------- \100,000/day
4 発電機 F.O. B重油
2台運転で4tons/day @6〜7万円 ----- \24万〜28万/day
5 発電機 System oil 50l/day
@20万円/Kl -------------- \10,000/day
  合計 402.5万円〜477.5万/day

昼食後、機関長より本船機関概要につき説明を受く。Sulzer というタイプには吸排気弁がないこと、ピストンをテレスコ管を通じて清水冷却していること、シリンダー・ライナーはシリンダー・オイルを圧送して潤滑していること、ピストン・リングは5本全部コンプレッション・リングで、オイル・リングがないこと、システム・オイルというのは油圧機器関係のオイルでなくて、一般の潤滑油であることなど、初めて耳にすることで大変勉強になった。それから機関の運転が正常であるか否かを診断する最も重要な方法はシリンダー毎の排気温度であることも初めて知った。1500〜1650 昼寝。1700 夕食。夕食後30分間、麻雀見学。昇橋。海上模様が異例に穏やかなので「弁護士さんが乗ったから天気が怖がっているらしい。」とひやかされる。明日正午頃 Unimak Pass 航過の予定と。富士山より高い万年雪の山があると聞き、好天を祈る。1950 機関室へ降り一機士森井氏より説明を受け、且つ燃料噴射ポンプ、シリンダー・ライナー、潤滑ポンプ、テレスコ管、ターニング・モーター、スラスト・ペアリング、中間軸、プロペラ・シャフト、 船尾管軸承(オイル・シール)を案内して貰う。明日でも写真に撮りたい。2130 昇橋。滝口三航士より視水平線につき教えを受ける。

幾何学的水平線 dG(マイル)=1.93√h(メートル)
視水平線 dv=2.07(√H+√h)
レーダー水平線 dr=2.2(√H+√h)
これによれば、
本船眼高20メートルとして視水平線は18.5マイル
    〃   、相手船高さ10メートルとすると視認可能距離15.8マイル
〃   、相手船高さ20メートルとすると視認可能距離18.5マイル
レーダー・マストの高さ30メートル、物標高さ20メートルとすると
探知可能距離22マイル
〃         物標高さ30メートルとすると
探知可能距離24マイル
但し、大気の密度分布が標準状態と異なるときは屈折率も変化する。
結果、係数が変化するとのことである。
0400 Sea high
Ship pitching & rolling heavily on E’ly heavy swell
Shipping seas on decks all the time                      S log 304’
4における針路300゚(T)、風向ENE、風力8、天候r、気圧983.5
大気温度 乾5.0・湿4.0、海水温度6.0、主機回転88.0、Log73
0800 Sea high
Ship pitching & rolling heavily up E’ly heavy swell
Shipping seas on decks al the time                      S log 372’
8における針路300゚(T)、風向NNE、風力8、天候o、気圧984.0
大気温度 乾2.5・湿2.0、海水温度5.5、主機回転87.4、Log68
Put ship’s clocks ab’k 0h−15m
Noon Sea very rough
Ship pitching & rolling heavily up NE’ly heavy swell
Shipping seas on decks all the time
a/co to 305゚                                Reset S log showing 445’
Noon における針路300゚(T)、風向NNE、風力7、天候o、気圧989.0
大気温度 乾0.5・湿0.0、海水温度5.0、主機回転88
1600 Sea very rough
Ship pitching & rolling roughly on NE’ly rough swell
Shipping seas on decks at times                        S log 72’
16における針路305゚(T)、風向NNE、風力7、天候o、気圧992.0
大気温度 乾0.0・湿マイナス1.0、海水温度5.0、主機回転89.2、Log72
2000 Sea Moderate
Ship pitching & rolling mod’ly up NE’ly swell
Shipping seas on decks at times                        S log 147’
20における針路305゚(T)、風向NNW、風力2、天候o、気圧994.5
大気温度 乾0.0・湿マイナス2.0、海水温度5.0、主機回転90.8、Log75
Put ship’s clocks ab’k 0h−30m
M.N. Sea rough
Ship pitching & rolling roughly up N’ly swell
Shipping seas on decks at times
Reg. lights were strictly attended to
Round made, all’s well                              S log 235’
M.N. における針路305゚(T)、風向NW、風力5、天候bc、気圧995
大気温度 乾マイナス2.5・湿マイナス4.5、海水温度4.5、主機回転89.7、Log88
正午位置 実測 50−25N 154−53W
推測 50−18N 153−36W

航海時間 24−45
航海距離 494
航進時間 24−45
航進距離 494
平均速力 19.96
推測距離 445
(D. Run by Log)
同上平均速力 17.98
距離 from 1,609 to 3,069
海潮流  49’<278>
主機回転 88.2
 失脚率  プラス8.5
燃料残有量 198.1
       1918.5
1日消費料 1.5
       75.2
飲料水   17
Fresh Water
P S
NO.1 F.W.T.  P112  S96
NO.2 F.W.T. F
NO.3 F.W.T. P101   S98
Low A.P.T. F
時計 D from U GMT マイナス10h−15m
Ship’s time Adjustment
Ab’k 0h−45m
Total 2h−15m
Balance(JSTとの) 4h−45m
二港間の合計
航海時間 3−13−25
航海距離 1,609
航進距離 1,591
平均速力 19.04
推測距離(D. Run by Log) 1,540
平均速力 18.43

Jan14へ