1983年1月10日(月)
出港10分前にまだ全てのもやいを取ったまま、次席三航士が船尾の安全を確認した後、Eng. Try。Dead Slow Ahead にして、機関始動後約20秒して停止、次に Dead Slow Astern にして同様にテスト。本船は右舷で接岸していた。Harbour Pilot の嚮導のもと、2隻のタグが船首及び船尾に各1隻ずつ付き、ロープを取って岸壁から本船を岸壁と平行のまま離すように直角に引っ張る。D.S. Ahead、D.S. Astern を適宜使いながら、岸壁から30〜50m離れた頃、まず船尾のタグを離す。船尾のタグは船首の右舷側へ付いて押す。(押す場所が Web Frame であるのか少し気に掛かる)やがて本船はほぼ定点で船首を元の船首方位より約135゚ 位左へ回頭して Bay Bridge の方へ向け進む。
満天の星と San Francisco の街の灯、Bay Bridge の illumination が美しい。Bay Bridge の下をくぐり抜けたところで Bay Pilot がまだ着いていないことが分かり、本船は機関を止め Hovering して待つ。幸い付近に航行船舶もないが、このあたりは潮流が激しくまた複雑なところなので、霧でも出ていたら大変だったと船長はやや心配そうである。Harbour Pilot は本船出港が予告より10分早かったからと説明しているが、船長はそれにしても 0120 には着いて待っていなければならない筈だとの意見のようだ。やがて左舷後方から Pilot Boat が接近、Pilot Boat の高い位置に設けられた特別の台から 0140 Jacob Ladder に乗り移ってきた。0205 Golden Gate Bridge をくぐり抜け、そのまま Buoy の間を通って湾外へ出る。0240 Bay Pilot 離船。先程まで時間を守らないだらしのない Pilot のように思っていたが、Bay Pilot が Jacob Ladder を伝って上下に激しく揺れる Pilot Boat の上に無事降り立つ姿を本船右舷ウィングデッキから見届けると「御苦労様」と声をかけたくなるから不思議だ。
0242 R/up Eng. さあこれから一路東京へ向かう。Great Circle によれば、全航程約4,600マイル。
船長は取り敢えずうねりが大きいであろうと予想される200m等深線に沿って走ることを避けるため、針路305゚ とした。船長によれば、大陸棚の上ではうねりの影響が大きくなるので、取り敢えず沖出しするのだとのこと。0330 頃就寝。(0700 50N 140W へ向けるため318゚ (T) に変針)0800 頃、食事のため起こされる。ベッドの傍らの丸窓から左舷海面を眺めると一見風波は20〜30cmにしか見えない。このときのうねりは覚えがない。
食堂に行くともう船長、機関長ほか高級士官が食事中で恐縮する。生卵、味噌汁、魚、大根おろし、漬け物、白飯。朝食後 0900 頃昇橋すると素晴らしい快晴である。しかしうねりは多少あり(目測波長50〜60m、波高1〜2mか)軽いピッチングを繰り返しており、10回に1回位、或いは2分間に1回位船首ファッションプレートの裏側から真っ白い波しぶきを空中に放射状に散らしている。それは相対風向右舷船首約1点からの相対風速約20ノット(約10m/sec)の風により、白いレースで出来た三角ロールケーキのように持ち上げられて後方へ運ばれ、陽光を受けて瞬時虹となり、たちまち消え去る。写真約10枚を撮影し、1000 頃より 1150 頃まで就寝する。昼食はラーメン、牛乳、いか及び椎茸のフライ、ひじき煮物、白飯、漬け物。量多く、いかフライとひじきを取って置いて貰う。 
午後次第に雲ってくる。1400 頃より 1600 頃まで再び就寝。夕食前、船長は National Weather Service S.F. から電送されてきた予報図及び波の予想図、地上天気図、日本の波浪状況図、日本の500mb 高層気象図、13日 1200Z に到達すると予想される 50゚N 140W における風と波高に関して日本気象協会に問い合わせた結果得た回答を前に針路を検討していた。船長によれば、このままの針路315゚ では2日頃、針路の右前方に予想される波6〜7m、風35ノットの低気圧にかかる惧れが大であるので、高波海域(S.F. によれば波9.5m、日本6m、船長7m)を避けるため一旦左へ避けるのがよかろうと検討中であった。夕食はローストチキン脚1本、鮪角切りとろろいも、酢の物、白飯、バナナ、ビール2缶。バナナを断り、ローストチキンを夜食にと思って残したが結局食べなかった。コーヒーと煙草が漸く美味しくなる。美しい夕焼けを見る。写真1〜2枚。1800 頃より 2000 頃まで就寝。2030 頃昇橋。1830 285゚N に変針されたことを知る。先程の低気圧を避けるためらしい。
2200 頃就寝。2340 頃昇橋。1日何度も寝たり起きたりするので2〜3日経ったように感ずる。退屈はしないが、常に船体動揺するため行動、特に何かを書くということが大いに制約され、また疲れる。 
1983年1月10日(月) Oakland 出港時における新造時以来約15年間の主機通算運転時間86,178時間45分、積算回転数459,713,759回転
Deck Log 要約  

0030

(GMT-8) Harbour Pilot Mr. Lee Brown came on board & stationed for leaving this (Oakland) port.

0040

Tried engine.

0043

Took Tug “JODI-R” on her stern.

0044

Took Tug “Sea eagle” on her port bow.

0045

S/B eng.

0050

Let go all shore lines & left this port.

0051

Dead Slow ah’d eng. then used it & helms var’ly.

0057

Let go aft. eng.

0103

Let go fore tug.

0110

Dismissed aft station.

0116

P’d outerharbour herth end.

0125

P’d under the San Francisco - Oakland Bay Bridge.

0129

Dismissed fore station.

0140

Bay Pilot Mr. N. Wainright came on board & Harbour Pilot left her.

0205

P’d under G.G.B.

0240

Bay Pilot left her.

0242

R/up eng. & Set S. log.

0310

Bore P’t Reyes on <313> 15’.5 off & S/co on <305゚>

0400

Sea Moderate
4における針路305゚(T)、風向NNW、風力4、天候b、気圧1023.5、
大気温度 乾13.0・湿10.0、海水温度12.0、主機回転82.7 R.P.M.
総計距離 OG+18 18 Log 17

0415

Pt Reyes S’t ab’m <035> 2 1/2 off

0700

A/co. to 318 at 37-25 1/2 N, 123-58W

0800

Sea v. rough
Shipping spray on decks at times     S. log  92'
8における針路318゚(T)、風向N、風力6、天候b、気圧1025.0、
大気温度 乾13.0・湿11.0、海水温度13.0、主機回転85.5 OG74 Log 75
S. log 92’

Noon

Sea v. rough
Shipping spray on decks at times
A/co to 315゚ Reset S. log showing 168’
Noon における針路318゚(T)、風向N、風力6、天候b、気圧1027.0、
大気温度 乾12.5・湿11.0、海水温度13.0、主機回転87.3 OG75 Log 76

1600

Sea Moderate
Ship pitching roughly on NW’ly high swell & shipping sprays on decks at times                                S. log 75’
16における針路315゚(T)、風向NE、風力4、天候bc、気圧1027.5、
大気温度 乾11.0・湿9.5、海水温度12.5、主機回転87.2 Log 75

1830

a/co to <285> at D.R.P. 41-18N 127-10W Showing S log 123’

2000

Sea Moderate
Shipping spray on decks at times & Ship pitching roughly up NW’ly high swell                                        S. log 153’
Put ship’s clocks ab’k 0h-30m
20における針路285゚(T)、風向SE、風力3、天候bc、気圧1028.0、
大気温度 乾10.5・湿9.0、海水温度11.5、主機回転89.1

M.N.

Sea Moderate
Shipping spray on decks at times up SW’ly swell.
Reg. Lights were strictly attended to.
Round made, all’s well.                      S. log 234’
M.N. における針路285゚(T)、風向SSE、風力4、天候c、気圧1026.5、
大気温度 乾10.6・湿9.0、海水温度12.0、主機回転89.9
うねりの方向記載なし

正午位置

(Noon Position) 39−37N   125−15W

航海時間

(Hours under way) 11−10

航海距離

(Under way Dist. Run) 185

航進時間

(Hours Propelling) 09−18

航進距離

(Propelling Dist. Run) 167

平均速力

(Ave. Speed) 17.96

推測距離

(D. Run by Log) 168

同上平均速力

(Ave. Sp’d by Log) 18.06

Dist. From

185

Dist. To

4,493

海潮流

Tidal

主機回転

83.0

失脚率

+12.6
  燃料 飲料水
残有量 202.7
2,143.5
 
一日消費量 0.6
26.0
 

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