GREEN FIELD

貨物船 “GREEN FIELD” 小松島港岸壁における船体放棄・捨て船を解決

パナマ船籍の貨物船 “GREEN FIELD”(497総トン)は、1992(平成4)年5月11日に鳴門海峡で座礁して機関室に浸水し、翌日、小松島港(徳島県)へ曳航され、県営岸壁に係留された。
しかし船舶の修繕を巡って中国の船体保険会社と船主(実質船主は韓国)の話し合いが難航し、その間、乗組員は保安要員1人を残し韓国または中国へ帰国してしまった。その後、1993(平成5)年1月に至り船社が事実上倒産したため保安要員も帰国し、“GREEN FIELD” は廃船同様の状態で徳島県が管理する小松島港岸壁に放置されたままとなり、県営岸壁が長期に亘り同船に占拠されて港湾管理が阻害されるだけでなく、長期の岸壁使用料も入らず、一種の社会問題となり、地元の新聞には繰り返しこのことが写真入りで大きく報道される事態となった。

当事務所は1993(平成5)年12月、徳島県からこの船舶を撤去するためにどうしたらよいか相談を受けたので、撤去の実現に向けて必要な調査や処理を行なうと共に、県に対して法律上の助言や勧告を行なった。

即ち、登録船主・実質船主の確認、船舶に対する担保権の調査、船体そのものの整備状態の調査、実質船主との交渉、在韓国のパナマ大使との面談をも含む調査を実施した結果、最終的に元の船主が期日を区切って船舶を引き取ることとし、万一期日までに引き取らない場合には県がスクラップとして処分しても異存ない旨の同意を取り付け手続きを進めた。
結局、船主は出港させる途を選んだので、それに協力すべく、長期放置のため絶縁状態の悪くなった発電機に G. Murata Marine Associates の村田護郎氏の助言に従って修理を加えるなどして、1994(平成6)年9月16日、関係者多数が見守る中、2年半振りに発電機(ディーゼルエンジン)を起動させ、圧搾空気を作って主機を起動させ、韓国人の船長・機関長2名が乗り組み、Port State Control 検査官、Capt. 関、藤井弁護士同乗のうえ、エア・ホーン連続吹鳴と共に岸壁を離れて沖出し湾内旋回して洋上試運転をなし、一旦港外に投錨。翌17日、不足の安全備品補給がなされ、藤井弁護士と Capt. 関が出港と沿岸航行に必要な新しい海図を船長に供給し、同船は漸く小松島港を離れ、韓国へ向け出航した。

News

PDF file